俺もお前も全くしたことがなかった家事の様々。 二人で暮らすにあたって、助け合って努力した。 掃除も、洗濯も、買い物も。 二人で上達を目指してきたけれど、どうしたって才能がものを言った分野。 お前は何度やっても上手くなりはしなくって、そればっかりは仕方なく、いつも俺の担当になっている。 少し不満に思うときもあるけれど、お前の笑顔と一言だけで、報われた気分になるんだから現金なものだ。 「美味しいよ」
その、一言の賛辞のみで。 |
「汚ェだろ?」
ボロ布みたいになった制服のシャツを掴んで、小刻みに震えていた。 「大丈夫、お前は綺麗なままだ」
お前は弾かれたように顔を上げ、そこにあった俺の表情を見て、堰を切ったように泣き出した。 |
何にそれを見つけるかは人それぞれだと思う。 俺が感じたそれはひたすらに寂しく、そして抱きしめたくなるほど愛しかった。 「何やってんの」 話しかければ肩が僅かに揺れて、自分が見られていたのだと知った羞恥をその頬に紅く昇らせていた。 「…別にっ」
顔を背けた正直さを笑う。 |
濡れそぼったTシャツはその肌の全てを透かし見せていた。 まだ子供から大人への過渡期にある若い肉体は生命力に溢れ、凛と背を伸ばして立っていた。 天を仰ぐその表情は若者らしい潔癖さを湛え妥協を許さぬ風に引き締まっていた。 一際、強い雨粒が降り注ぎ、その肩を容赦なく叩いていく。 「…どうして!?」
振り絞るようにして出された、やや掠れ気味の声。
「…俺は大人で、お前は子供だ。
納得出来ないと激しくかぶりを振る姿に、俺だって納得してる訳じゃないと叫びそうになる。 |
紅珊瑚の艶やかな色が、柔らかな笑みの曲線を描いている。 その内から零れるのは磨かれた白珊瑚。
無意識に俺を誘っている、悪戯なお前の甘い唇。 |
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