学生服に包まれた背中を見送る。 すらりと伸びた背筋は、君の小柄さを補って有り余る格好良さだ。 君の後ろを歩いていれば分かるよ、君を振り返る、その人数の多さは。 僕にとってそれは、自慢でもあり不満でもある。 だって、君は僕のもので、僕は君のもので。他の視線なんていらないと思うのは、僕の我が儘かな。 そんなことを考えていたら。 何気なく振り返った君が、早くこいよと促した。 …うん、後ろ姿よりも、君の笑顔の方が数倍素敵だ。 |
横顔で感じる、お前からの視線。 俺の全てを溶かしそうな熱を孕んだ、力強いそれ。 俺は気が付かない振りを決め込んで、友人との馬鹿話に花を咲かせる。 お前が俺をどう思っているか、そんなことはとっくに分かってるんだ。 ただ、お前が語りたがらないから。 俺は黙って、その眼差しを受け止める。 決して、正面から向けられることのないその眼差しを。 |
肌は穏やかな気怠さに支配されていた。 大切な人、と分類される温かな肉体がある。汗の引いた後の、少しべたついた感触は、彼に限って全く不愉快ではなかった。 薄掛けの下の肌に肌を押しつけて、形良い耳殻に唇を寄せる。 「愛している」
ピクリと動いた肩は俺の声に対する無意識下の反応。眠っていても俺の声は聞いている、彼が愛しくて堪らない。 |
気分次第だ、そう言って君は髪型を変える。 金髪から銀髪へ、かと思えば烏の濡れ羽色に。長く伸ばしたかと思えばドレッドに、ベリーショートに、エクステに。 でも、俺は知ってる。 君がその度に新しい恋をしてるって事。 君は決して一人にはとどまれない人なのに、恋したエネルギーを発散しようとするかのように次々と髪型を変えていく。 俺の隣りに、居てくれるために。 |
白いわけでも滑らかなわけでもない。筋肉で筋張った脛や凸凹した腿には処理されない毛が生えている。 これが女の脚なら興ざめもいいところだが、惚れた男の脚となったら素肌を晒しているだけで即時欲情できてしまう。 『お前ノンケやないか』
そう言って戸惑うお前だが、知ったことか、俺は相手がお前なら、どの部位にだって勃起できるぜ。 |
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