気紛れで、我が儘で、妙に気位が高くて。 扱い難さは今まで付き合ってきた男女含めて一番なのに、どうしてだか全て許せてしまう。 クルクルと表情を変える万華鏡のような目が、じっと俺を捉えたまま逸れようとしないからだ。 どんなに振り回されても、彼が俺を明らかに特別扱いしているのが分かるから。 だから、俺は友人たちに呆れられながら、この猫のような恋人をいつだって甘やかしてしまう。 |
山中の空は格別だった。 いつもの薄ぼんやりとしたそれではなく、目に痛いほど鮮烈に輝いている。その上、見える量は段違いだ。 …あぁ、吸い込まれそうだ。 そんな眩暈にも似た感覚。 瞬間、暖かな手に掌が包まれた。 チラリと横目で君の顔を伺う。 「…帰ってこれなくなりそうだ」
君は少し笑って、握る手に力を込めた。 |
見下ろされていた。 立った状態では俺の方が視界が高いから気がつかなかったけれど、こいつも立派に雄の顔をしている。 少し、ビビる。 「…何強張ってんの」 呆れたように笑われて、その見慣れているはずの笑顔さえ、俺の知らない色が。 「お前、エロ臭い…」 訴えたら、一瞬きょとんとして俺を凝視さたが、すぐに弾かれたように笑い始めた。 「そりゃ、これからエロいことしますから」
そうして笑いを引っ込めた男の顔には、先刻にも増した艶やかさが足されていた。 |
首に、赤と金の二本のリボンをつけていた。 何の真似だと低く問えば、ヘラッと笑って見せた。 「…やぁ、実はまだ給料日前でね」
でも何もないのも寂しいじゃない。
「……さては忘れていたな」
気にしてもいなかった。 「…ほら、取りあえず進呈だ」
互いに互いを分け合おう。 |
あっちィ、そう言って彼は机に突っ伏した。 制服の上着を脱ぎ捨てて、タンクトップ一枚の姿で。 スッキリとした首から肩へと流れるラインや、程よく筋肉のついた焼けた二の腕が露わになっている。 「お前、ほっせェなあ」 傍らにいた学友が笑って、クイとその襟元を引いた。 「いやん、エッチ」
ふざけて身をくねらせた彼、ほんの僅かな時間に俺の目に焼き付いた。 |
□
■
□
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||