微妙な沈黙が落ちてはや十分。現状の打開が必要とされていて、実行すべきが俺だって事は理解している。 ただ、踏ん切りがつかなくて。
「えっと…」
こういうタイミングってのは、なんでまたバッチリ合っちまうもんなんだろうな? 「あのな、俺、お前の事が――…っ」
必死で絞り出した告白には昨日の夜に考え抜いた手順なんてかけらも残っていなかったけれど、そんな事、構うもんか。 |
伏せられた睫毛の下の瞳が、潤んでいる事は知っていたんだ。 僕の一言が君をとても傷つけている、分かっているけれど、今更なかった事になど出来る筈もないし、なかった事にするつもりならば、最初からこんな非道な事など言うわけがない。 僕は、本気で。 「もう、お終いだ」
悪いのは君じゃないんだ。でも、よくあるように僕が悪者ってわけでもない。 「…っ、わかった」
君の蒼褪めた頬を伝う透明。 |
少したくしあげたズボンの裾から覗く、日に焼けない白さ。 スポーツソックスに隠れて、素の色を残している。 ベッドに座る君の足元に寝転んで、その白さを指先で撫でた。 「……っ!?」
声にならない悲鳴をあげて、君は両足を引き上げた。 |
赤と黄色が繊細なグラデーションを描くそれ、黄緑の柄を摘んで持ち上げて。 ゆっくり唇に運んで行く。 それに似た赤の唇がゆるりと開いて、白い歯がさくりと果実に突き刺さる。 溢れる果汁に綻んだ口許、そしてその幸せは顔中に広がって。
「…うまい?」
お前の手が二つ目を摘んで、今度は俺の口許に。 |
眠りこけた彼を腕の中に抱える。 俺よりも、僅かに背は高いかもしれない。 けれど、筋肉が付かないのだと嘆いていた彼は、予想していたよりも軽かった。 「…お前、人を信用し過ぎ」
バーのカウンターで、初めて隣りあった、それだけの縁だ。 「…俺に持ち帰る意思はない、だから、ホテルに放り込む」 顔馴染みのマスターに言えば、彼はニヤリと笑って。 「その子、アンタに片思い中だよ」 アンタは初めてだと思ってる、けど、そうじゃないんだ。 「……近所のガキだったとは」
もう、10年近く前、就学前のガキの面倒は見ていたけれど。 |
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