綺麗な人−02 |
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俺の下の先生は、本当に色っぽかった。女の丸さも、白さもないけれど、張りのある筋肉は、不思議と俺の掌に吸い付くようだった。 先生は声を殺して、潤んだ目で俺を見上げて。普段はワックスで固められている髪が、ソファに押し付けられて乱れている。俺も先生も、息なんて疾うに上がっていて、短く荒い呼吸音が、広く暖かな部屋を満たしていた。 体のどこを触っても小さな、或いは大きな反応を示す先生は、きっと緊張のせいで酷く敏感になっている。それでも理性は捨てきれないらしく、時々思いつめた目をしていた。
「湊…、俺のコト…」
訊くまいと思ってもつい口をついて出てくる疑問符。今までの癖っていうのは恨めしい。女の子が相手ならば酷く優しく返される言葉も、先生が言うと切ない響きを纏っていた。 「平気? つらく、ない?」
体でも、心でも。 「イけないの、が、ツレェ…」
きっとそれだけじゃないはずだ。男に組み敷かれている不安は消えないままだろうし、服を着終わった後の、日常への苦さだって抱いている。
「…じゃあ、湊、俺の、触って?」 きゅっと一瞬だけ俺の服を引っ張った先生は、でも迷わずに俺の熱に手を伸ばした。少しだけひんやりとした先生の手。包まれて、脈打つのが分かった。 「…スゲ……」 無意識に零れたのだろう先生の声に苦笑する。先生の方が、余程大きいくせに。 「こんなの、…はいる、の、か…?」
眉を寄せて、俺を窺って。それから、ぎゅっと目を瞑った。
「みなと…?」
何でいきなりそんな事を言ったのか、察しがついた。
「大丈夫、そんなの全然平気。 何て愛しい、俺の綺麗な人。
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